プレシデンテ春香のトロピコ建国日記第22回

第21.5回→http://d.hatena.ne.jp/JosephP/20110521

第23回→http://d.hatena.ne.jp/JosephP/20110618
 
 ちょっと説明不足だったな、と反省している回。
 
 スト終結関係の話について補足。

……アルゼンチン軍の“未確認機を撃墜”という発表に対し、米ソは互いに相手の反応をうかがった。
 相手側のスパイ機であった可能性を考えたからである。
 しかし、東西両陣営とも、“撃墜”されたのが自陣営の飛行機でなく、しかも相手陣営にも何の動きもないことを確認すると、やがて事件への興味を失った。
 撃墜は何かの誤認であるか、あるいは発表それ自体が、アルゼンチンの軍事政権が、国内向けに“戦果”を捏造しようとした宣伝なのだろう、という評価に落ち着いたのである。
 
 しかし、UFO襲撃事件に脅えていたカリブの船員たちは、アルゼンチン軍の発表以後、UFOが出現しなくなったことに気づき、アルゼンチン軍が宇宙人のUFOを撃墜したのだ、と信じるようになった。
 こうして、UFO事件への不安から始まった海運ストライキは、その原動力を失い、終息することになった。
 
 しかし、一般には、そもそも“カリブにUFOが出る”という話そのものが信じられていなかったため、アルゼンチン軍がそれを撃墜した、という主張もまた、広く受け入れられることはなかった。
 
 一方、アルゼンチン軍の記録においては、UFOは“所属不明機”扱いのままで、それを撃墜したのは緊急発進したアルゼンチン軍パイロットである、とされた。
 非公式に招いた教官が空軍機で非公式に飛行訓練を行った上、無断で所属不明機を撃墜した……という真相を知っているのは、その基地に所属していた人々だけである。
 
 ただ、「ルーデル教官」の話は、パイロット達の間には噂として広まり、後のフォークランド紛争に向けて同国パイロットの士気と技量を高める要因となった。
 
 表沙汰にはならなかったルーデルの“戦車撃破”の件だが、いかなるルートからか西ドイツで噂を伝え聞いた軍人・政治家もいた。
「彼に西ドイツで講演してもらえば我が空軍の士気も上がるだろう」
 と考えた彼らが、結果的にいかなるスキャンダルを引き起こしたかは、よく知られているところである。
 
 なお、この“撃墜”記録は、アルゼンチン民主化の後、軍事政権時代の信憑性の薄い内容として見直されることとなり、現在では公式の戦史としては残っていない。

 というような背景ストーリーを考えていたのです。
 
 ……でも、そこまで伝わらないですよね……あれ。
 
 せっかく久しぶりに歴史を絡めた話を作ったのに、説明が足りなかったー、残念。
 
 ところで、アルゼンチン軍の軍歌がなかなか見つからなくて大変でした。
 当初、ラジオの「軍報道部発表」は、ガンパレードマーチの曲を使おうかと思ったくらいで……。
 実際に使ったのは「MARCHA DE SAN LORENZO」……「サン・ロレンツォ行進曲」とかでいいんでしょうか。
 軍歌を探したい時は「march」で検索すれば出てくる、というのを学びました。
 後のアルゼンチン軍基地で流れるのは「Mi Bandera」……「我が旗」?
 
 後、UFOが「撃墜」されるシーンですが、もちろんフィクションです。
 元の映像だと、あの後、ヘリが飛来して、墜落したUFOを回収する流れに。
 また、本来は空軍機が2機いるんですが、そこは動画の話に合わせて1機に修正しました。
(画質があんまり良くないのが幸いして、さほど不自然にならなかったかな、と……)
 
「やよいはいい子だなあ」
 と口々に言われております。
 
 ニコマスだと、やよいって、常に腹ぺこのイメージがあります。
 
 ただ、やよいって、食べ物をもらえたらすごく喜ぶだろうけど、もらったものをその場で全部食べるんじゃなくて、
「弟たちに持って帰ってもいいですか?」
 って聞くんじゃないかなあ、という気がするんです。
 
 やよいがいつも腹ぺこなのは、7人家族の腹を満たさなきゃいけないからなんだ、と思っています。
 
 アネクドートについて。
 
「バナナヤキウイ」はちょっとわかりづらかったですか……。
 
 もちろん、ソビエト広報官はバナナもキウイも、ベーキングパウダーもコーンスターチも、おそらくはウォークマンも知りません。
 実際のソ連の生活でそんなものを手に入れることはできないので。
 
 ただ、それを言ったら
ソ連は豊かな国だ」
 という宣伝が真っ赤な嘘だということになるので(その通りなんですが)、なんだかわからないままに
「工場でたくさん生産されています」
 と言っている……という話なのです。
 
ソ連ウォークマン」だっておかしいですから。
 
 紹介するアネクドートは、内容に若干手を加えたものも多く、これもその一つです。
 
 私が読んだ本では、
「パイナップルもありますか?」
 という質問になっていました。
 
 また、元々、アネクドートは主にロシア語で、口頭で語られるジョークですから、
「ベーキングパウダーヤコーンスターチ
 みたいな、平仮名と片仮名の使い分けが元ネタにあるはずもなく。
 
 まあ、口頭文芸だから、多少の脚色は許してもらえるかなあ、と思っています。
(同じジョークが本によって違うのは普通のことだし)