動画と技術。

トロピコの27回、技術的に成長した、というお褒めの声があり。
 大変ありがたいのですが……そうかなあ。
 
 嫌味に聞こえるかも知れませんがそういう意味ではなくて、なにぶんほとんどAviUtlの機能(正確にはその拡張編集の機能)をそのまま使ってるだけなので、自分の技術と言うより開発者の技術なのです。
(垂直同期は、元の動画に「画像ループ」と「ラスター」のエフェクトを掛けて、その上にテレビ画面の枠をかぶせてるだけ。白黒になるのは「色調補正」です)
 
 大部分はただX・Y座標が移動してるだけだし。
 
 見る側にとっては、いっぱい動くと良く見える、ということなのかなあ、と思います。
 
 動かすこと自体はそれほど難しくはないのです。
 でも確かに、動かない画面に比べれば、人物などが生き生きして見えるのは事実。
 
 んー、それで面白い動画が増えるなら、「動く紙芝居制作講座」とか作ってみようかなあ、とは、ちょっと前から思っています。
 技術指導というより、簡単さを紹介する意味で。
 
 でも、動画制作講座ってしばらく前に流行って、今さら私が作らなくても偉大な先人の作品が山ほどあるんですよね。
 
 しかし、なんというか、動画を制作してる人が見て
「これすげえ! どうやっているんだ!?」
 と思うようなものが、そうでない視聴者にもウケがいいとは限らないですよね。
 
 こないだいっこく堂の腹話術をテレビで見てて思ったことなんですが……。
 腹話術で半濁音(ぱぴぷぺぽ)を発音するのは難しいらしい。
(普通にやるとどうやっても口が動いてしまうから)
 
 でも、普通の人は
「これは難しい技術なんですよ!」
 って説明されなきゃそんなのわからないわけで。
 
 だから、その難しさがわかってる腹話術師が見れば
「うおおすげえ! なんて技術だ!」
 って思うかも知れないけど、一般人は別にそこまで驚かない。
 
 似たようなことを思ったのは、ドラクエ4の第4章のラストとか。
 ハバリアの街から船が出航するシーンって、技術的にはすごい高度らしいんですが、雑誌で「あれはすごい」って言ってるプログラマの記事を読むまで、すごいんだとは気付かなかった。
 
 まあ、いっこく堂みたいなその世界の第一人者になると、テレビ制作の側で「これは凄い技術で」って説明してくれるから、私みたいな一般人にもわかるんですが。
 でも、そこまでの達人でないなら、「技術的に凄い」ことより、「見る人を楽しませる」ことを念頭に置かなきゃダメだな、と思います。
 
 ドラクエ4だって、演出上必要だからあのようにしたのであって(良いシーンですよね)、技術を見せびらかしたかったわけではない。
 
 もちろん動画制作だって、見る人のために作っているはずなんですが、ともすると、より面倒で高度な技術を投入することが、クオリティの高い動画であるような気になってしまったり。
 
 すごく高度なSFXが使われてる映画ならおもしろいのか、という話かも知れない。
 
 ……まあ、自分はそこまで高度なことできませんけども。
 
 ともあれ、とにかく見る人が楽しんでくれるような動画を心がけたいと思います。
 当たり前なんですけれども。