プレシデンテ春香のトロピコ建国日記第31回
第30回→http://d.hatena.ne.jp/JosephP/20120923
第32回→http://d.hatena.ne.jp/JosephP/20130228
まず冒頭、スタジオでカメラが立体的に回り込みますが、あれはポリゴンとかたいそうなものではなく、Aviutlのカメラ制御でやっています。
床と背景と、ののワさんの乗ってるテーブルを組み合わせただけのひな壇みたいなものなので、「3D」と言うほどのものではないかも知れません。
……しかし、ののワさんと小鳥さんが水着を「交換」する、という話に、「サイズが合わないだろ」ってつっこむ人が一人もいないという驚愕の事態。
まあ、ののワさん、このシリーズでも、ちょくちょく巨大化したり空を飛んだりしてるのでね……。
小鳥さんが喪服(のようなもの)を着てる時にも、ののワさんは体がモノクロになってリボンは元のままという謎の現象が起きてますし。
(でも誰もつっこまないよ!)
でも、開票結果の発表の時、小鳥さんとののワさんは2人とも水着を着てます。2人が着てるのは本当はそれぞれ別の水着なのですよ。もちろん。
大聖堂、半年くらいで建つとは思いませんでした……。
このシリーズは、建設速度が速くないと動画的に面白くないと言うこともあり、建築事務所がおそろしく多いわけですが……。
萩原組の本気か……。
ただ、支持率の変動については、大聖堂ばかりではなく、賃金引き上げなどが少しずつ効いてきた、ということが大きいのだと思います。
やはり、選挙の本当に直前に何かをやっても効果は薄いのですかね。
ヨーゼフが「働けば自由になれる」と言う時、「け」の字が一部裏返りますが、あれは、アウシュヴィッツ収容所入り口の入り口に掲げられた「ARBEIT MACHT FREI」の「B」の字が裏返っている、という話にちなんでいます。(画面にも映ります)
Wikipediaによれば、これは
>「B」の文字が逆さまに見えることについて、SSの欺瞞(ぎまん)に対する作者(被収容者)のささやかな抵抗と考えられている。
のだそうです。(http://goo.gl/uXam)
文字を半分だけ裏返すのちょっと面倒だったんですが、誰も指摘してくれなくてちょっと寂しい。
それはさておき、BGMの話。
夜会話(笑)で流れるのは、ご指摘の通り「エビータ」の「アルゼンチンよ泣かないで」です。
……曲だけで何のヒントもないのによくわかるなあ……。
Jaime(読みは「ハイメ」)連隊長の退任式で最初にかかっているのは「Landgraf Marsch」……ドイツの行進曲だそうなんですが、なんでもチリ陸軍でも使われているそうなので。
(写真はチリ陸軍だそうです。ヘルメットとかドイツ軍そっくりですけど)
そして、後半にかかるのは「ベンセレーモス」。
このシリーズを作り始めて、視聴者の方々のコメントから色々なことを勉強させてもらいました。
この曲も、実はコメントで曲名を指摘されて初めて調べ、とても心に残った曲です。(前にも書きましたか)
なにぶん、チリにおける社会主義の革命歌ですから、もちろん反体制の歌なんですが、同時に
「祖国を裏切るより、我らは死を選ぶ!」
という、いたく愛国的な歌でもあります。
ピノチェト政権のように、政府が本当に国家や国民に害をなしている時、革命運動・反体制運動は愛国心と矛盾するものではない……ということでしょうか。
また、革命歌って、なんとも軍歌っぽい勇ましい歌も多い印象なんですが(暴力革命を志向するならそうなりますわなあ)、「ベンセレーモス」の曲は軽快です。
で、歌詞はというと、
「祖国の労働者よ、祖国の婦人もまた……学生よ、農民よ、我ら共に進もう!
血塗られた祖国を慈しみ、守り……銃剣を前にして我らは胸を張る!」
という、軍歌というより……なんか非暴力的な悲壮さが。死ぬぞ。
……そして、この時、銃剣を持つ側であったJaime氏もまた、ずいぶんこたえるものがあったろうな、という。
Jaime氏退任式の話はずいぶん引っ張ってしまいましたが、まあ、ここで出せたのは結果的に良かったかな、と。
しかし白状しますが、これはそれなりに以前から考えていた話ではあるものの、最初から考えていたわけではなくてですね……。
ゲーム「トロピコ」の軍隊は(Jaime氏が言うとおり)自国民を相手に戦う軍隊です。
しかしそれを765プロのアイドルに担当させるとなんとも嫌な話になりそうで……。
作中のトロピコ軍が主としてUMAを相手にしていたのは、その辺りの折り合いを付けるべく考えた設定でした。
(Jaime氏が初登場したのは番外編ですけど、そっちでは、「軍が解体された」ことを理由にトロピコを出て行ってしまうんですから、今回の話とは明らかに何か違う人です……)
で、その設定が、シリーズを作ってるうちに今回のような話にまとまっていったわけで。
それがいつ頃だったかはもう覚えていませんが。
……ティラノを倒した時点ではもう決まってたんですけどね。
ティラノサウルスは明らかに「人型」ではないよね−、矛盾するよね−、とは思ったんですが、まあ……おもしろそうだったので……。
……という、たいへん行き当たりばったりなやり方で話を作って参りました。
あと、今回、春香が「落選したら765プロのみんなもこの国を出なきゃならない」って悩んでましたけど、その割にあずささんとか対立候補を擁立してたよね? とか。
そういうところツッコミ始めるときりがないと思うんですが、温かい目で見守ってくださると幸いです。
なんというか、ずっと先のことまで考えて、伏線を張り巡らして長編を作れる人ってすごいと思います。本当に。